不動産業界において、近年では電子契約が本格化しつつあります。
不動産管理を検討するにあたり、耳にしたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、賃貸借契約における電子契約について解説します。
そもそも電子契約とは何かにくわえて、今後の流れにも触れるので、
これから不動産管理をされる予定の方はぜひ参考にしてください。
不動産管理における賃貸借契約での電子契約とは?
そもそも電子契約とは、電子文章に電子署名などを用いて、契約を締結することを指します。
従来の契約と違い、紙を使わずに契約を締結できるため、コストの削減や業務の効率化などが期待できます。
また、離れた場所にいる相手との契約がスムーズになり、これまでテレワークが難しかった不動産業界において、
新たな働き方の可能性を秘めている契約方法です。
電子契約に関する懸念として、本当に契約が成立するのかという点が挙げられます。
この点について、電子署名および認証業務に関する法律において、電子署名であっても契約は成立するとされています。
しかし、住居の重要事項説明書と賃貸借契約書は、宅地建物取引業法に基づき書面での発行が義務付けられています。
そのため、現在は基本的にそれらの電子化は認められていません。
ただ、駐車場の賃貸借契約などは、この法律の規定に含まれていないので電子化が可能です。
不動産管理における賃貸借契約での電子契約は今後どうなる?
不動産管理のテレワーク化を目指すのであれば、今後、契約時の書類はすべて電子化したいところです。
現在の時点で、法律上書面での交付が義務付けられている重要事項説明書と賃貸借契約書については、2019年から電子化しようとする動きが開始しました。
賃貸借契約の完全電子化に向けた社会実験が実施され、その結果をもとに2021年に法改正が実施されました。
2021年5月に「デジタル改革関連法案」が成立し、なかには書面を廃止するという内容への法律の改正も含まれています。
2022年5月までに施行される予定で、改正が実施されると、契約時の押印が廃止され、
重要事項説明書や賃貸借契約書も電子契約でおこなうことが可能となります。
今後、法改正が実施されれば、家賃保証会社や保険会社などとのやりとりもペーパーレス化が進むとみられ、
契約業務のデジタル化が本格化していく可能性が高まっています。
電子入居申込や電子契約といった、賃貸借契約に関する一連の流れがオンライン化され普及することで、
それが当たり前となる時代が近づくでしょう。
まとめ
以上、不動産管理における賃貸借契約の電子契約について解説しました。
電子契約とは、電子文章に電子署名などを用いるオンライン化された契約で、
賃貸借契約については現在書面での契約が義務付けられています。
法改正によって電子契約の普及は急速に進むと考えられますので、
今のうちから対応方針の検討など準備を進めておくとよいでしょう。